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2021年4月8日木曜日

日本農薬学会と日本農芸化学会でオンライン学会発表

 3 月 8 〜 9 日に開催された日本農薬学会第 46 回大会と3 月 18 〜 21 日に開催された日本農芸化学会 2021 年度大会において研究室の学生がそれぞれ 1 題ずつの発表を行いました.

3/9(火)日本農薬学会第 46 会大会
◯早川優介,手塚大介,菊地爽太,今井亮三,豊増知伸,戸嶋浩明,長谷川守文
「ジャスモン酸メチルによってイネ根部で誘導されるジテルペノイドファイトアレキシン類の探索」
3/19(金)日本農芸化学会 2021 年度大会
◯鳥井 潤一郎,戸嶋 浩明,長谷川 守文
「ホウレンソウ葉における塩化銅ストレス誘導性化合物の同定」

どちらの学会も新型コロナウイルス感染症拡大の状況を考慮してオンラインの開催になり,事前に録画したプレゼンテーション動画を前もって視聴してもらって,発表日には zoom で質問を受けるという形式でした.

農薬学会は座長が決まっていて,座長の仕切りで 10 分間の質疑応答が行われるというやり方,農芸化学会は発表ごとに個別の zoom ブレイクアウトルーム内で 30 分間の自由な質疑応答を行うというやり方でした.農芸化学会のやり方はポスター発表での質疑に近い形式のように感じました.

オンライン開催に関わるトラブルがなかったわけではありませんが,我々の発表も含めて,発表自体は概ね順調に行われていたと思います.農薬学会は農工大,農芸化学会は東北大が大会実行委員会を担当されていました.初めてのオンライン開催で色々ご苦労があったことと思います.ちなみに農芸化学会の大会実行委員長は本研究室で 2000 年まで助教授を務められていた桑原重文先生でした.桑原先生は今年度の日本農学賞/読売農学賞もご受賞されています.


2019年4月14日日曜日

日本農芸化学会,卒業式,新年度,3/14 〜 4/11 の輪読

年度末および年度初めのドタバダでしばらく更新していませんでした.

3/24 に東京農業大学世田谷キャンパスで開催された日本農芸化学会 2019 年度大会において,修士課程の隠塚君が下記の発表を行いました.

1D5p10 ○隠塚修平,木村塁,香川明慶,西脇萌,戸嶋浩明,長谷川 守文(茨城大・農)
「イネのアミド型ファイトアレキシンの病原真菌による代謝」

隠塚君は昨年の農薬学会以来二回目の学会発表でした.会場からの質問にもまずまず落ち着いて答えられていたようです.

3/26 は茨城大学の卒業式でした.生物制御化学研究室からは修士課程学生 1 名修了,学部学生 4 名(うち 3 名が修士課程進学)が卒業しました.

新年度の生物制御化学研究室は修士課程学生 6 名(うち 1 名はインドネシア・ガジャマダ大学からのダブルディグリープログラム所属学生),学部学生 4 名の計 10 名の学生でスタートです.教員は戸嶋先生の学部長,長谷川の学科長の任期 2 年目になります.

3/14 〜 4/11 の輪読では下記の論文を取り上げました.

1460. Yang, C. et al. (2019). Binding of the Magnaporthe oryzae chitinase MoChia1 by a rice tetratricopeptide repeat protein allows free chitin to trigger immune responses. Plant Cell 31: 172–188.

1461. Augustijn, D., Tol, N.V., van der Zaal, B.J., de Groot, H.J.M., and Alia, A. (2019). High-resolution magic angle spinning NMR studies for metabolic characterization of Arabidopsis thaliana mutants with enhanced growth characteristics. PLOS ONE 13: e0209695.

1462. Cao, W.-L. et al. (2019). OsSYP121 accumulates at fungi penetration sites and mediates host resistance to rice blast. Plant Physiol. 179: 1330–1342.

1463. Irieda, H. et al. (2019). Conserved fungal effector suppresses PAMP-triggered immunity by targeting plant immune kinases. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 116: 496–505.

1464. Mareya, R.C. et al. (2019). Untargeted metabolomics reveal defensome-related metabolic reprogramming in Sorghum bicolor against infection by Burkholderia andropogonis. Metabolites 9: 8.

1465. Fischer, W., Currais, A., Liang, Z., Pinto, A., and Maher, P. (2019). Old age-associated phenotypic screening for Alzheimer’s disease drug candidates identifies sterubin as a potent neuroprotective compound from Yerba santa. Redox Biol. 21: 101089.

1466. Ma, F., Yao, W., Wang, L., and Wang, Y. (2019). Dynamic translocation of stilbene synthase VpSTS29 from a Chinese wild Vitis species upon UV irradiation. Phytochemistry 159: 137–147.

1467. Wei, Y. et al. (2018). VvWRKY8 represses stilbene synthase genes through direct interaction with VvMYB14 to control resveratrol biosynthesis in grapevine. J. Exp. Bot. 70: 715–729.

1468. Ahmad, A., Xuan, T.D., Minh, T.N., Siddiqui, N.A., and Van Quan, N. (2019). Comparative extraction and simple isolation improvement techniques of active constituents’ momilactone A and B from rice husks of Oryza sativa by HPLC analysis and column chromatography. Saudi Pharm. J. 27: 17–24.

1469. Hou, Y. et al. (2019). A Phytophthora effector suppresses trans-kingdom RNAi to promote disease susceptibility. Cell Host Microbe 25: 153–165.e5.

1470. Li, Y. et al. (2019). Osa-miR398b boosts H2O2 production and rice blast disease-resistance via multiple superoxide dismutases. New Phytol. 222: 1507–1522.

2018年6月1日金曜日

日本農薬学会,研究室セミナー,5/23〜6/1 の輪読

秋田県立大学秋田キャンパスで開催された日本農薬学会第 43 回大会で修士 1 年の隠塚君が「イネフィトアレキシンであるモミラクトン A のイネ病原真菌による代謝」のタイトルで口頭発表を行いました.農薬学会には 10 年以上参加していませんでしたが,生物制御化学研究室出身で現在秋田県立大学で教授をされている田母神繁先生が大会実行委員長ということもあり,久しぶりに参加しました.また,いつもは 3 月か 4 月の開催で日本農芸化学会大会の開催時期とも近く,発表ネタが用意しにくかったのですが,今年度は時期がずれた開催だったということもあります.

IMG 1500

学会と関係ありませんが,秋田市内では街中で石油掘っていました.

 

今年度の研究室セミナーは 5/7 から開始で最初の 2 回は年間計画発表会でした.文献紹介は 5/21 から開始しました.

5/21 化学生態学研究室 M1 小暮君
Ohtaka, K., Hori, K., Kanno, Y., Seo, M., and Ohta, H. (2017). Primitive auxin response without TIR1 and Aux/IAA in the charophyte alga Klebsormidium nitens. Plant Physiol. 174: 1621–1632.

5/28 M2 大垣君
Fernández, A. et al. (2017). Enantiospecific synthesis of antifungal dasyscyphin E from cupressic acid. Tetrahedron 73: 6549–6557.

5/30 化学生態学研究室 D3 武井さん
McClerklin, S.A. et al. (2018). Indole-3-acetaldehyde dehydrogenase-dependent auxin synthesis contributes to virulence of Pseudomonas syringae strain DC3000. PLoS Pathog. 14: e1006811.

5/23〜6/1 の輪読では下記の論文を取り上げました.

1320. Yokotani, N. et al. (2018). OsWRKY24, a blast-disease responsive transcription factor, positively regulates rice disease resistance. J. Gen. Plant Pathol. 84: 85–91.

1321. Yoshimura, M. et al. (2018). Discovery of shoot branching regulator targeting strigolactone receptor DWARF14. ACS Cent. Sci. 4: 230–234.

1322. Chen, H. et al. (2018). Effects of overexpression of jasmonic acid biosynthesis genes on nicotine accumulation in tobacco. Plant Direct 2: e00036.

1323. Hu, W., Pan, X., Li, F., and Dong, W. (2018). UPLC-QTOF-MS metabolomics analysis revealed the contributions of metabolites to the pathogenesis of Rhizoctonia solani strain AG-1-IA. PLOS ONE 13: e0192486.

2018年3月20日火曜日

日本農芸化学会 2018 年度大会 & 先週の輪読

3/15 〜 18 に名古屋の名城大学天白キャンパスなどで開催された日本農芸化学会 2018 年度大会に生物制御化学研究室からは 1 題の研究発表をしました.

3 月 16 日(金)
2A18a08 イネ紋枯病菌によるフィトアレキシン代謝産物の構造決定及び抗菌活性
○勝間田駿,隠塚修平,戸嶋浩明,長谷川守文(茨城大農)

修士 2 年の勝間田君の研究室では最後の学会発表となりましたが,分かりやすく発表して,質問への受け答えもしっかりできていたと思います.

輪読は今年度は先週で終了です.先週の輪読では下記の論文を取り上げました.

1295. Christensen, S.A. et al. (2018). Fungal and herbivore elicitation of the novel maize sesquiterpenoid, zealexin A4, is attenuated by elevated CO2. Planta 247: 863–873.

1296. Wang, Y. et al. (2018). Proteomic analyses of Magnaporthe oryzae development disrupted by salicylic acid. Physiol. Mol. Plant Pathol. 102: 55–66.

1297. Blüher, D. et al. (2017). A 1-phytase type III effector interferes with plant hormone signaling. Nat. Commun. 8: 2159.

2018年1月31日水曜日

勝間田駿君の論文が Molecules 誌に掲載

修士課程 2 年に在学中の勝間田駿君の修士論文研究の一部をまとめた原著論文がスイス MDPI 社のオープンアクセスの英文学術雑誌 Molecules に掲載されました.

Katsumata, S., Toshima, H., and Hasegawa, M. (2018). Xylosylated detoxification of the rice flavonoid phytoalexin sakuranetin by the rice sheath blight fungus Rhizoctonia solani. Molecules 23: 276.

イネ紋枯病菌はいもち病菌と並んでイネに大きな被害を及ぼす病原真菌です.この論文では,紋枯病菌がイネのフラボノイド系フィトアレキシンであるサクラネチンを解毒代謝する能力を有しており,その解毒代謝産物 3 種類を同定したことを報告しています.いもち病菌によるサクラネチンの解毒については,すでに勝間田君が報告しています.紋枯病菌によるサクラネチンの解毒代謝産物では,いもち病菌の解毒代謝産物としても報告されていたナリンゲニンも同定されましたが,それ以外に従来のフィトアレキシン解毒代謝では知られていなかったキシロシル化による解毒代謝産物であるサクラネチン-4′-O-β-D-キシロピラノシド,ナリンゲニン-7-O-β-D-キシロピラノシドを新たに同定することができました.これらの解毒代謝産物の抗菌活性はサクラネチンと比較して顕著に低く,サクラネチンを添加して培養すると,サクラネチンの現象に伴ってこれらの化合物が蓄積することが明らかとなりました.一方で,いもち病菌の解毒代謝産物として同定されたステルンビンへの変換は紋枯病菌ではみられませんでした.この論文の結果から,いもち病菌と紋枯病菌はそれぞれ独自にサクラネチンの解毒代謝能を獲得してきたのではないかと考えられます.

Graphical Abstract

修士課程在学中に 2 報の筆頭著者論文が掲載された学生は私の指導学生では勝間田君が初めてです.原著論文は出ましたが,修士論文は明日 2/1 が締め切りですので,今が最後の追い込みというところです.

Molecules はオープンアクセスジャーナルなので,掲載料が 1800 CHF(約 20 万円)と非常に高価です.しかし,Molecules を含む MDPI(他には Int. J. Mol. Sci. などが有名)からの査読を引き受けて期限(一週間)以内に査読レポートを返すと,掲載料に使える 250 CHF のバウチャーがもらえるという仕組みになっています.MDPI からの査読依頼をかなりせっせと引き受けたので,今回のこの論文は掲載料を全額バウチャーで賄うことができ,実際には無料で掲載してもらえました.査読は労力のわりにリターンの少ない仕事なのですが,この仕組みは査読の引き受け甲斐を上げてくれる良いやり方だと思います.MDPI の査読バウチャーも以前は 50 CHF でしかも有効期限が 1 年だけだったのですが,現在は 250 CHF で有効期限 2 年になったので,かなり使えるようになりました.

2017年7月24日月曜日

「化学と生物」誌にフィトアレキシンについての解説記事が掲載

日本農芸化学会の和文誌「化学と生物」の 2017 年 8 月号に長谷川が執筆した「植物の自己防御物質フィトアレキシンの多様性」という解説記事が掲載されました.

フィトアレキシンの化学構造を明らかにする研究というのは 20 世紀のうちに大体やり尽くされていた感があったのですが,最近イネ科やアブラナ科植物で従来知られていたよりもフィトアレキシンは多様であるということが分かってきました.この解説では 21 世紀に入ってから分かってきた新たなフィトアレキシンについて紹介しています.


2016年9月22日木曜日

勝間田駿君の論文が Chemistry & Biodiversity 誌に掲載

修士課程 1 年生の勝間田駿君が筆頭著者でスイス Wiley-VHCA 社の英文学術雑誌 Chemistry & Biodiversity に投稿していた論文が 9/16 にアクセプトされ,9/19 には Wiley Online Library で Accepted Manuscript が公開されました.

Katsumata, S., Hamana, K., Horie, K., Toshima, H., and Hasegawa, M. Identification of sternbin and naringenin as detoxified metabolites from the rice flavanone phytoalexin sakuranetin by Pyricularia oryzae. Chem. Biodiversity in press.

この論文ではイネのフラボノイド系フィトアレキシンであるサクラネチンがイネいもち病菌によってステルンビンとナリンゲニンに代謝されることを明らかにしています.代謝されたステルンビンとナリンゲニンのいもち病菌に対する抗菌活性はサクラネチンよりも低く,いもち病菌はサクラネチンをステルンビンやナリンゲニンに代謝することによって解毒している可能性が考えられます.イネは抗菌活性物質であるフィトアレキシンを作って病原菌の感染拡大を抑えていると考えられていますが,病原菌もフィトアレキシンを解毒することによって植物に対抗しているのかもしれないと我々は推測しています.


この研究は第二著者の修士課程修了生濱名一穂君の修士論文研究を勝間田君が引き継いで卒業論文研究で完成させた結果です.

2016年4月23日土曜日

堀江清孝君の論文が Phytochemistry Letters 誌に掲載.

ブログでの報告が遅れていましたが,この 3 月に博士の学位を取得して連合大学院を修了した堀江清孝君が筆頭著者の論文がヨーロッパ植物化学会の英文誌 Phytochemistry Letters の 2016 年 3 月号に掲載されました.

Horie, K., Sakai, K., Okugi, M., Toshima, H., and Hasegawa, M. (2016). Ultraviolet-induced amides and casbene diterpenoids from rice leaves. Phytochem. Lett. 15: 57–62.

この研究成果は堀江君の博士論文研究の一部ですが,卒業生の酒井健伍君と奥木美咲さんの卒業論文の成果も含まれています.

紫外線照射したイネ葉片に含まれる二次代謝産物を LC/MS を用いてプロファイリングし,従来はイネからは知られていなかった化合物 3 つを発見しました.一つはたの植物からはすでに単離が報告されている N-ベンゾイルチラミンでした.あとの 2 つはカスベン骨格を持つ新規ジテルペン化合物で.2013 年に本研究室の井上靖乃さんが報告したフィトアレキシンである ent-10-オキソデプレッシン の生合成前駆体と考えられるものでした.また,今回発見した化合物を含めて既知のイネフィトアレキシンの蓄積量といもち病菌に対する抗菌活性を再評価し,2 種類のアミド化合物(N-ベンゾイルトリプタミン,N-シナモイルトリプタミン)がいもち病菌に対するフィトアレキシンとして機能していることも明らかにしました.

2016年4月5日火曜日

新年度,日本農芸化学会,輪読

新年度が始まりました.今年度の生物制御化学研究室は修士課程の学生が 2 年生 2 名,1 年生 2 名,学部 4 年生が 4 名という体制です.


3 月 27 日~ 30 日には札幌コンベンションセンターなどで日本農芸化学会 2016 年度大会が開催され,生物制御化学研究室からは 2 題の発表を行いました.

  • 3 月 29 日(火)
    • 3B020 イネフィトアレキシン モミラクトン A のイネいもち病菌による代謝産物の同定
    • ○武山恵典,平石由貴,遠藤尚,今井卓也,戸嶋浩明,長谷川守文(茨城大農)
  • 3 月 30 日(水)
    • 4B068 シクロペンタン導入型 KODA 類縁体の合成研究
    • ○渡辺美聡,横山峰幸,長谷川守文,戸嶋浩明(茨城大農,横浜市大)

3/22〜3/25 の輪読では下記の論文を取り上げました(先週の輪読はお休み).

913. Zeier, J. et al. (2016). Pipecolic acid orchestrates plant systemic acquired resistance and defense priming via salicylic acid-dependent and independent pathways. Plant Cell 28: 102–129.

914. Iwabuchi, K., Hidema, J., Tamura, K., Takagi, S., and Hara-Nishimura, I. (2016). Plant nuclei move to escape ultraviolet-induced DNA damage and cell death. Plant Physiol. 170: 678–685.

915. Yoshitomi, K. et al. (2016). Rice terpene synthase 24 (OsTPS24) encodes a jasmonate-responsive monoterpene synthase that produces an antibacterial γ-terpinene against rice pathogen. J. Plant Physiol. 191: 120–126.

916. Zebelo, S., Song, Y., Kloepper, J.W., and Fadamiro, H. (2016). Rhizobacteria activates (+)-δ-cadinene synthase genes and induces systemic resistance in cotton against beet armyworm (Spodoptera exigua). Plant Cell Environ. 39: 935–943.

2015年4月23日木曜日

堀江清孝君の論文が J. Agric. Food Chem. 誌に掲載

連合農学研究科博士課程 3 年に在籍している堀江清孝君が筆頭著者の論文がアメリカ化学会の J. Agric. Food Chem. に掲載されました.

Horie, K., Inoue, Y., Sakai, M., Yao, Q., Tanimoto, Y., Koga, J., Toshima, H. and Hasegawa, M. (2015) Identification of UV-induced diterpenes including a new diterpene phytoalexin, phytocassane F, from rice leaves by complementary GC/MS and LC/MS approaches. J. Agric. Food Chem. in press. 

この研究は堀江君だけではなく,本研究室の卒業・修了生の井上靖乃さん,阪井美紀さん,姚群さん,谷本洋輔君の卒論や修論の研究をもとにしている論文です.

イネのフィトアレキシンとしては現在までにジテルペン化合物 15 種類,フラボノイド化合物 1 種類が報告されていました.この論文では新規化合物であるファイトカサン F を紫外線照射イネ葉から精製し,その構造解析を行い,さらに紫外線照射やイネいもち病菌接種による蓄積および抗菌活性を調べて,ファイトカサン F がイネの 17 番目の新規フィトアレキシンであることを明らかにしています.また,同時に抗菌活性は低いものの紫外線照射とイネいもち病菌接種によって蓄積する 2 種のジテルペン化合物の同定も行い,これらがモミラクトン類とオリザレキシン S 生合成における中間体ではないかと推測しています.今回新たに発見されたファイトカサン F は従来から知られていたフィトアレキシンの中で比較的蓄積量も抗菌活性も高いファイトカサン A と同程度の抗菌活性と蓄積量を示しました.したがって,ファイトカサン F は多数あるイネのフィトアレキシンの中でも重要なフィトアレキシンの一つであると考えています.



2015年4月12日日曜日

新年度,堀江君の論文アクセプト,輪読

新年度が始まりました.昨年度の学生は修士 1 名が修了し,4 年生 4 名が卒業しました.今年度は卒業生のうち 2 名が大学院に進学して,新 4 年生 4 名が研究室に配属されました.研究室の学生は博士 3 年 1 名,修士 2 年 1 名,修士 1 年 2 名,学部 4 年 4 名の計 8 名で新年度スタートとなりました.

年度初めから幸先の良いことに博士課程学生の堀江清孝君が筆頭著者の論文が 4/11 にアメリカ化学会の英文誌 J. Agric. Food Chem. にアクセプトされました.この論文は新規のイネフィトアレキシンであるファイトカサン F とジテルペン系フィトアレキシン生合成中間体と想定される 2 つの化合物についての報告です.本研究は,堀江君の博士論文研究の一部ですが,卒業・修了生の井上靖乃さん,阪井美紀さん,姚群さん,谷本洋輔君の卒業・修士論文研究を発展させたものです.詳しい内容については別のエントリで後ほど書こうと思います.
Horie K, Inoue Y, Sakai M, Yao Q, Tanimoto Y, Koga J, Toshima H, and Hasegawa M, Identification of UV-induced diterpenes including a new diterpene phytoalexin, phytocassane F, from rice leaves by complementary GC/MS and LC/MS approaches. J. Agric. Food Chem., in press.

3/16 から 4/10 の輪読では下記の論文を取り上げました.
718. Dhakal, R., Park, E., Lee, S.-W., and Baek, K.-H. (2015). Soybean (Glycine max L. Merr.) sprouts germinated under red light irradiation induce disease resistance against bacterial rotting disease. PLoS ONE 10: e0117712.
719. Monjil, M.S. et al. (2015). Methanol extract of mycelia from Phytophthora infestans-induced resistance in potato. C. R. Biol. 338: 185–196.
720. Shyu, C., and Brutnell, T.P. Growth–defence balance in grass biomass production: the role of jasmonates. J. Exp. Bot. in press.
721. Ameye, M. et al. (2015). Priming of wheat with the green leaf volatile Z-3-hexenyl acetate enhances defense against Fusarium graminearum but boosts deoxynivalenol production. Plant Physiol. 167: 1671–1684.
722. Richardson, L.L. et al. (2015). Secondary metabolites in floral nectar reduce parasite infections in bumblebees. Proc. R. Soc. London, Ser. B 282: 20142471.
723. Jacobo-Velazquez, D.A., Gonzalez-Aguero, M., and Cisneros-Zevallos, L. (2015). Cross-talk between signaling pathways: The link between plant secondary metabolite production and wounding stress response. Sci. Rep. 5: 8608.
724. Sohrabi, R. et al. (2015). In planta variation of volatile biosynthesis: an alternative biosynthetic route to the formation of the pathogen-induced volatile homoterpene DMNT via triterpene degradation in Arabidopsis roots. Plant Cell 27: 874–890.
725. Rasmann, S., Chassin, E., Bilat, J., Glauser, G., and Reymond, P. Trade-off between constitutive and inducible resistance against herbivores is only partially explained by gene expression and glucosinolate production. J. Exp. Bot. in press.
726. Sánchez-Vallet, A., Mesters, J.R., and Thomma, B.P.H.J. (2015). The battle for chitin recognition in plant-microbe interactions. FEMS Microbiol. Rev. 39: 171–183.
727. Lu, J. et al. (2015). Induced jasmonate signaling leads to contrasting effects on root damage and herbivore performance. Plant Physiol. 167: 1100–1116.
728. Asselin, J.A.E. et al. (2015). Perturbation of maize phenylpropanoid metabolism by an AvrE family type III effector from Pantoea stewartii. Plant Physiol. 167: 1117–1135.
729. Rudd, J.J. et al. (2015). Transcriptome and metabolite profiling of the infection cycle of Zymoseptoria tritici on wheat reveals a biphasic interaction with plant immunity involving differential pathogen chromosomal contributions and a variation on the hemibiotrophic lifestyle definition. Plant Physiol. 167: 1158–1185.
730. Neukermans, J. et al. (2015). ARACINs, Brassicaceae-specific peptides exhibiting antifungal activities against necrotrophic pathogens in Arabidopsis. Plant Physiol. 167: 1017–1029.

2014年4月11日金曜日

日本農芸化学会 2014 年度大会,新年度,輪読

3/27~30 に川崎市の明治大学生田キャンパスなどで日本農芸化学会 2014 年度大会が開催されました.本研究室からは修士課程の濱名君と私がそれぞれ「イネのフィトアレキシンであるサクラネチンのいもち病菌による代謝」,「紫外線照射イネ葉からの新規ファイトカサン類縁体の同定」というタイトルで口頭発表を行いました.農芸化学会の発表は,一昨年は各自の PC を接続してプロジェクターで行い,昨年は紙に出力したものを OHC で映写して行いましたが,今年は USB メモリでパワーポイントファイルを持って行って,会場の PC を使う形式になりました.私が見ていた会場では USB メモリの認識に時間がかかって若干遅れたりしたときはありましたが,概ね順調に発表は行われていました.濱名君の発表は,事前のチェックや発表練習では気が付かなかったちょっと恥ずかしいスライドの間違いもありましたが,まあ何とか終了しました.

4 月になりましたので,年度が切り替わりました.今年度の研究室メンバーは博士課程 2 年生 1 名,修士課程 2 年生 1 名,1 年生 1 名,学部 4 年生 4 名の計 6 名となりました.人数的には昨年より 1 名増です.

輪読は今週から再開し,下記の論文を取り上げました.
506. Kawai, Y., Ono, E., and Mizutani, M. (2014). Evolution and diversity of the 2–oxoglutarate-dependent dioxygenase superfamily in plants. Plant J. 78: 328–343.
507. Wölwer-Rieck, U., May, B., Lankes, C., and Wüst, M. (2014). Methylerythritol and mevalonate pathway contributions to biosynthesis of mono-, sesqui-, and diterpenes in glandular trichomes and leaves of Stevia rebaudiana Bertoni. J. Agric. Food Chem. 62: 2428–2435.
508. Ke, Y., Liu, H., Li, X., Xiao, J., and Wang, S. Rice OsPAD4 functions differently from Arabidopsis AtPAD4 in host-pathogen interactions. Plant J. in press.
509. Chassy, A.W., Adams, D.O., and Waterhouse, A.L. (2014). Tracing phenolic metabolism in Vitis vinifera berries with 13C6-phenylalanine: implication of an unidentified intermediate reservoir. J. Agric. Food Chem. 62: 2321–2326.
510. Gaquerel, E., Gulati, J., and Baldwin, I.T. Revealing insect herbivory-induced phenolamide metabolism: from single genes to metabolic network plasticity analysis. Plant J. in press.

2013年6月8日土曜日

下村伸君の論文が Biosci. Biotechnol. Biochem. 誌に掲載

2011 年 3 月に修士課程を修了した下村伸君が筆頭著者の論文が Biosci. Biotechnol. Biochem. 誌(日本農芸化学会の英文誌)のサイトでオンライン公開されました.

Shimomura, S., Oyama, S., Nakano, K., Hasegawa, M., and Toshima, H. (2013). Stereoselective synthesis of a promising flower-inducing KODA analog, (9R,12S,13R,15Z)-9-hydroxy-12,13-methylene-10-oxooctadec-15-enoic acid. Biosci. Biotechnol. Biochem. in press.

植物の花芽の形成は日長などの環境要因によって厳密に制御されています.花咲か爺さんの昔話にあるように,花芽形成を人間の意のままに自由に制御することができれば,その技術は農業生産や育種,園芸の現場などで大変役に立つはずです.

この論文は,アオウキクサから単離された花芽形成促進物質 KODA 類縁体の立体選択的合成を報告したものです.KODA は資生堂の横山らによって発見された化合物(こちらを参照)ですが,そのまま植物生長調節剤として用いるには不安定な化合物であるため,本研究室ではシクロプロパン環を導入した化学的に安定な類縁体を設計し,その合成方法について研究を行ってきました.本論文で報告した類縁体が花芽形成促進活性を有するかは今後の研究によって明らかにしなければいけませんが,有効な花芽形成促進物質となることが期待されています.

koda2-2013-06-8-16-54.png
KODA の化学構造(天然から単離された KODA は 1R:1S = 7:3 の混合物)

koda_analog-2013-06-8-16-54.png
本論文で報告した KODA 類縁体

この論文は下村君だけでなく,今年修了した大山秀芳君と 2008 年修了の中野恭平君たちの修士論文研究成果の一部をまとめたものです.

2013年4月8日月曜日

井上靖乃さんの論文が Biosci. Biotechnol. Biochem. 誌に掲載

先月,修士課程を修了した井上靖乃さんの論文がBiosci. Biotechnol. Biochem. 誌にオンライン公開されました.

Inoue, Y., Sakai, M., Yao, Q., Tanimoto, Y., Toshima, H. and Hasegawa, M. (2013) Identification of a novel casbane-type diterpene phytoalexin, ent-10-oxodepressin, from rice leaves. Biosci. Biotechnol. Biochem. in press.

紫外線照射イネ葉から,新規ジテルペン化合物 ent-10-oxodepressin を単離・同定し,この化合物がイネいもち病菌接種によっても蓄積が誘導され,いもち病菌胞子に対する抗菌活性を有することも示して,イネの新規フィトアレキシンであることを明らかにした論文です.この化合物は従来知られていたイネのジテルペン系フィトアレキシンとは全く異なるカスバン骨格を持つ化合物でした.カスバン型ジテルペンとしては,トウダイグサ科植物と Sinularia 属軟質サンゴ以外の生物からは初めての発見です.また,イネのフィトアレキシンとしては 1997 年のファイトカサン E の発見の報告依頼 16 年ぶり 16 個目の発見となりました.

この研究は井上さんの修士論文研究の一部ですが,卒業・修了生の阪井美紀さん,姚群さん,谷本洋輔君の卒業論文・修士論文研究が引き継がれてまとめられたものです.

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2013年3月29日金曜日

卒業式 & 日本農芸化学会 2013 年度大会

3/26(火)に茨城県武道館で茨城大学の卒業式が挙行されました.今年度は生物制御化学研究室からは修士 2 名,学士 2 名の学生さんたちが卒業することになりました.卒業論文や修士論文研究に取り組んだ過程で培った(はずの)力を生かして,社会へ出ても活躍されることを期待しています.

3/24-27 には仙台の東北大学で日本農芸化学会 2013 年度大会が開催され,研究室からは戸嶋先生と修士 2 年の大山君と私が参加しました.大山君は 3/26 に「抗β酸化型 CP-KODA (3-oxo-CP-KODA) の合成研究」というタイトルで発表を行いました.大山君は,この日は卒業式だったのですが,卒業式には参加できずにしかも引っ越し準備などで超多忙のため仙台日帰りという厳しい日程での発表となりましたが,立派に発表できたのではなかろうかと思います(私は別の会場にいたので推測).

本日で今年度は終了です.来週からは研究室メンバーも大幅に入れ替わって新年度がスタートします.来年の明治大学での農芸化学会ではもっと多くの発表ができるようにしたいと思います.

2012年12月28日金曜日

仕事納め,井上さんの論文アクセプト,今週の輪読

本日で茨城大学は仕事納めで,研究室もとりあえずお休みです.新年は 1/4 から再開予定です.

修士課程二年生の井上靖乃さんが日本農芸化学会の英文誌 Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 誌に投稿していた論文が 12/25 にめでたくアクセプトされました.この論文は井上さんの卒業論文・修士論文研究の成果ですが,その基盤となるデータは卒業・修了生の阪井美紀さん,姚群さん,谷本洋輔君の卒論・修論の研究で得られたものです.詳しい内容については論文がウェブ公開されてから書きたいと思いますが,久しぶりのイネの新しいフィトアレキシンの発見を報告した論文です.

今週の輪読では下記の論文を取り上げました.これで今年の輪読は終了で,新年は 1/7 から再開予定です.

228. Moheb, A. et al. Tricin biosynthesis during growth of wheat under different abiotic stresses. Plant Sci. in press.
229. Návarová, H., Bernsdorff, F., Döring, A.-C., and Zeier, J. Pipecolic acid, an endogenous mediator of defense amplification and priming, is a critical regulator of inducible plant immunity. Plant Cell in press.
230. Pedras, M.S.C., Abdoli, A., Chumala, P.B., Saha, P., and Schatte, G. Unprecedented spirocyclization of 3-methyleneindoline-2-thiones during hydrolysis of the phytoalexin cyclobrassinin. Bioorg. Med. Chem. Lett. in press.
231. Sánchez-Calvo, B., Barroso, J.B., and Corpas, F.J. (2013). Hypothesis: Nitro-fatty acids play a role in plant metabolism. Plant Sci. 199–200: 1–6.

2012年3月26日月曜日

日本農芸化学会 2012 年度大会

3 月 22 ~ 26 日に日本農芸化学会 2012 年度大会京都女子大学などで開催されました.生物制御化学研究室からは博士の学位を授与されたばかりの井坂哲也君が 3/24 に「生合成類似環化反応による新規インドールテルペン類 の合成研究」というタイトルで口頭発表を行いました.井坂君にとっては長かった 8 年間の研究室生活での最後の学会発表となりました.しかし,井坂君の発表のときにはマイクがちゃんと入っていなかったため,会場後部では声が非常に聴き取りづらくなってしまい,非常に残念でした.

今回の農芸化学会では初めて一般講演が各自の持ち込み PC をプロジェクターに接続して行うというやり方になりました.かなりの演題数がある学会なので,トラブルが続出するかもと思っていたのですが,私が聴いた一般講演では大きなトラブルは全くありませんでした.5 ~ 6 演題ごとに十分間の PC 接続チェック時間が設けられていて,トラブルがあった場合は運営側で準備した PC を使うなどといった対策が取られていたようです.私は有機化学系と植物系の会場でしか講演を聴いていないので,他の会場の状況は良く分かりませんが,運営側の対応が適切だったのだと思います.

また,同じく初めてのこととして,冊子体の講演要旨集がなくなり,PDF ファイルのダウンロードでの提供だけになりました.私個人的には重い要旨集を持っていくより iPad だけを持っていく方が便利なので,この変更は歓迎します.ただ,ダウンロードをするのに必要なパスワードが当日申込の人にはその場で渡されて,会場ではインターネット接続サービスの提供もないので,人によっては要旨集を見ることができずに困ったのではないかと思います.

また,個人的なことですが,私は非常に眼が悪いので,学会会場でのスライドを見るのは大変苦労します.従来は単眼鏡とかデジカメの液晶ディスプレイとかを使ってみていたのですが,いずれも視野が狭いため,長時間スライドを使った発表を見るのにはつらいものがありました.最近発売された新しい iPad は,カメラ機能を使うと大きな Retina ディスプレイいっぱいでスライドを見ることができ,私にとっては画期的な視覚補助器具になりました.しかし,農芸化学会は会場内撮影禁止という制限があり,撮影はせずにただ見ているだけなのですが,一度係の方から注意を受けました.眼が悪いので見るのに使っているだけです,と言って見逃してもらったのですが,新しい会場に行く度にちょっと使うのがためらわれました.しかも,三日目の講演からは必ず座長が撮影禁止というアナウンスをするようになり,それでも iPad でスライドを見続けるのはちょっと抵抗がありました.しかし,一度これでスライドを見るのに慣れてしまうと単眼鏡は使えません.開き直って iPad を使い続けました.

スライドについては,国際化への対応という趣旨で,英語で作成することが大会実行委員会から推奨されていました.私が聴いた講演は結構日本語を使っているものも多かったのですが,正直なところ,日本語のスライドの方が圧倒的に分かりやすいと思いました.英語より日本語に慣れているというだけでなく,限られたスペースで情報を伝える場合,漢字はアルファベットに比べてかなり優位性があると思います.やはり,英語でスライドを作る場合,日本語のものをそのまま英訳するのではなく,英語にあったスライドにしないといけないのだと思います.

2011年11月16日水曜日

菅野紘男博士との共同研究成果が Appl. Entomol. Zool. 誌に受理

元九州沖縄農業研究センターの菅野紘男博士との共同研究成果が日本応用動物昆虫学会の英文誌 Applied Entomology and Zoology に受理されたとの連絡をもらいました.この研究は菅野さんが数年前本研究室に共同研究員として滞在された時に行われたものです.

セジロウンカの加害によって,イネにいもち病菌に対する抵抗性が誘導されるという興味深い現象を菅野さんたちが発見していたのですが,その抵抗性にジャスモン酸やサリチル酸,フィトアレキシンの蓄積が関与しているのではないかと考え,それらの定量を行ったものが今回の論文です.結果としては,ジャスモン酸やサリチル酸の内生量の増加,フィトアレキシンの蓄積がセジロウンカ加害によって引き起こされることが明らかとなりました.昆虫加害によるフィトアレキシンの蓄積については全く報告がないわけではないのですが,報告例は少なく,イネのフィトアレキシンについては病原菌以外の生物による誘導の確認は初めてだと思います.

2011年11月8日火曜日

今井卓也君の論文が Biosci. Biotechnol. Biochem. 誌に受理 & 井坂哲也君の論文がオンライン公開

11 月 6 日に修士課程 2 年生の今井卓也君を筆頭著者とする論文が日本農芸化学会の英文誌 Biosci. Biotechnol. Biochem. 誌に受理されました.この論文は今井君の修士論文研究の一部で,農業生物資源研究所の大橋祐子先生らとの共同研究成果です.


Takuya Imai, Yuko Ohashi, Ichiro Mitsuhara, Shigemi Seo, Hiroaki Toshima, and Morifumi Hasegawa, Identification of a degradation intermediate of a rice phytoalexin, momilactone A, by rice blast fungus. Biosci. Biotechnol. Biochem., in press.


イネいもち病菌がイネの生産する主要なフィトアレキシンであるモミラクトン A を分解するときの中間体の構造解析,合成,定量分析を行った論文です.フィトアレキシンは植物が病原菌の侵入に対して防御反応として蓄積する抗菌活性物質ですが,病原菌はこの防御反応を回避するためにフィトアレキシンを分解する能力を有する場合があります.我々の研究室では昨年やはり大橋先生らとの共同研究成果としてモミラクトン A がイネいもち病菌によって分解・解毒されることを報告しています(Mol. Plant-Microbe Interact. 23, 1000-1011).この論文で,モミラクトン A の分解中間体を GC/MS のピークとしては見つけていたのですが,その構造については未決定でした.今回の今井君の論文はこの宿題を解決するものです.構造決定した化合物はモミラクトン A のラクトン環の脱炭酸と酸化によって得られる 3,6-dioxo-19-nor-9β-pimara-7,15-diene (1) でした.


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化合物 1 の抗菌活性はモミラクトン A とほとんど変わらなかったので,モミラクトン A の解毒には更なる変換が必要だと推定しています.この点については,今後の研究課題です.


修士課程の学生さんの論文が在学中に出てくれる(たぶん今年度中には掲載されるはず)のは,私の指導する学生では初めてのことです.今井君がしっかり実験に取り組んでくれた成果だと思います.


また,博士課程の井坂哲也君を筆頭著者とする論文が J-STAGE で早期公開されました.


Tetsuya Isaka, Morifumi Hasegawa, and Hiroaki Toshima, Biomimetic cyclization of epoxide precursors of indole mono-, sesqui- and diterpene alkaloids by Lewis acids. Biosci. Biotechnol. Biochem., in press.


学生さんたちの論文発表が続いていますので,この流れに他の学生もどんどん続いて欲しいところです.

2011年11月3日木曜日

植物化学調節学会第 46 回大会

11 月 1 日と 2 日の二日間,栃木県宇都宮市の宇都宮大学峰キャンパスで植物化学調節学会第 46 回大会が開催されました.生物制御化学研究室の修士課程の今井君と井上さんの 2 名,化学生態学研究室の修士課程の山口君と四年生の横倉君の 2 名の合計 4 名の学生さんが茨城大学からポスター発表しました.たぶん,この学会で茨城大学から 4 名も発表するのは初めてのことなのではないかと思います.


学会は 1 日目に化学生態学研究室の 2 名が 3 分間の口頭発表,2 日目に生物制御化学研究室の 2 エ名が口頭発表を行い,2 日目の午後がポスター閲覧と質疑応答の時間でした.残念ながら,最後に発表されたポスター賞には誰も該当しませんでしたが,皆さん落ち着いて発表できましたし,それぞれにとって今後の研究の刺激になったのではないかと思います.


次の学会は 3 月末の京都での農芸化学会ですが,要旨の〆切が 12 月初めで,もうあまり時間がありません.この学会でも学生さんに発表してもらいたいのですが,まだデータが足りてないので,頑張って欲しいと思います.



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