昨日の昼前,家にいた私のところに研究室にいる大学院生の下村君から電話がかかってきました.NMR のサンプルホルダーを試料管を挿していない状態でマグネットの中に入れてしまって,取れなくなったということでした.
NMR の試料は 5 mm 径の細長いガラス管に入れた状態でサンプルホルダーにセットしてから超伝導マグネットの中に挿入します.実際に NMR 測定が行われる場所はマグネットの中心部分で簡単にアクセスできないようになっていて,通常は空気圧でサンプルを出し入れします.しかし,試料管が挿されていない状態のサンプルホルダーには本来試料管を挿入するべき穴があるので,そこから空気が漏れてしまい,取り出すことができないという状態になってしまいました.このミスの発生は私が茨城大学に赴任してから二回めです.
昼過ぎに私が研究室に行って,マグネットの下側からプローブを引き抜いてホルダーを取り出しました.再びプローブを取り付けてヤレヤレという感じだったのですが,その後,測定してみると全くロックシグナル(重溶媒の D の信号)が見えないという状態になってしまいました.いろいろいじってシグナルを探したのですが,昨日の時点では解決策を見出せず,日曜日なので日本電子データムのサポートセンターもお休みのため,とりあえずあきらめました.
今日になって,サポートセンターに連絡して解決策を聞いてみました.分光計のシム関係のユニット(名前忘れました)のプロテクトスイッチが切れているかもしれないと言われ,分光計の裏に入って教えてもらったスイッチを見てみたところ,案の定オフになっていました.このスイッチを入れ直したところ,ロックシグナルはいとも簡単に見つかりました.結局,シムが全く働いていない状態だったので,信号が見えなかったということのようです.
これで問題解決して目出たし目出たしのはずだったのですが,今度はマグネットの液体窒素の残量が日曜日からずっと 100% のままで下がらないという問題が発生しました.これは土曜の夜にトラブルが発生したときに下村君が分光計の電源を切って帰ったため,そのあと液体窒素自動供給装置から窒素が過剰に供給されてしまったことが原因のようです.いつまでたっても 100% のままなので,センサーが壊れたかと心配したのですが,夕方になったらやっと 99% になったのでたぶん壊れてはいないようです.