2011年12月28日水曜日

仕事納め

今日で大学は仕事納めで,来年の仕事始めは 1/4 になります(授業は 1/6 から).この一年は何と言っても東日本大震災が最大の出来事でした.幸い,生物制御化学研究室の被害は軽微でしたが,茨城大学全体の被害はかなり大きく,まだ研究棟の補修工事が続いています.


研究室で今年あった良いことは,博士課程の井坂君と修士課程の今井君の二人の学生さんが筆頭著者の論文を出すことができたことだと思います.毎年少なくとも一人ぐらいは在学中の学生さんに筆頭著者論文を出して欲しいと思うのですが,実際にはなかなかこれが達成できません.今井君の論文掲載予定は来年ですが,今年二報が受理されたというのは非常に良かったです.


特に井坂君は学位取得のためにはもう後のない状態での論文掲載決定だったので,やれやれ良かったという感じです.とは言っても,重要な学位論文審査会が来年一月に控えているので,これからも気を引き締めてしっかりやっていただきたいと思います.他の学生さんたちも,修論・卒論,大学院の二次試験,授業の期末試験などに向けて是非頑張って欲しいと思います.

2011年12月22日木曜日

研究室セミナー & LC/MS/MS メンテナンス

昨日の研究室セミナーの論文紹介は四年生の佐々木君の担当で,紹介した論文は Jun Shimokawa, Takaaki Harada, Satoshi Yokoshima, and Tohru Fukuyama, Total Synthesis of Gelsemoxonine. J. Am. Chem. Soc., 133(44), 17634-17637 (2011) でした.ゲルセミウム・エレガンスから単離された複雑な骨格を持つアルカロイド gelsemoxonine 全合成の論文です.

昨日と一昨日の二日間,AB SCIEX エンジニアによる3200 QTRAP のメンテナンスと点検作業が行われました.この LC/MS/MS も納入後二年近く高頻度に利用されてきたので,メンテナンスを依頼しました.ユーザーはインターフェースと MS 入口のところまでしか洗浄できないのですが,今回は内部の四重極まで洗浄作業をやってくれました.作業後の性能チェックも良好だったので,現在は LC/MS/MS は非常に良い状態で使えるようになっているはずです.

大学は今日で授業終了で,明日から 1/5 までが冬期休業です.研究室は 12/28 まで通常通り営業です.

2011年12月15日木曜日

研究室セミナー

昨日の研究室セミナーの論文紹介は修士課程の井上さんの担当で,紹介した論文は Christopher M. Ranger, Rudolph E. Winter, Ajay P. Singh, Michael E. Reding, Jonathan M. Frantz, James C. Locke, and Charles R. Krause, Rare excitatory amino acid from flowers of zonal geranium responsible for paralyzing the Japanese beetle. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 108(4), 1217-1221 (2011) でした.マメコガネに麻痺を引き起こす物質をゼラニウム花弁から単離し,それをキスカル酸というアミノ酸であると同定した論文です.

今年の研究室セミナーは来週あと一回ありますが,明日は生物制御化学研究室・化学生態学研究室合同での忘年会が「たじま」で開催されます.

2011年12月8日木曜日

化学実験基礎

昨日は水戸キャンパスの理学部化学実験室で鈴木先生と私が担当する教養の実験科目「化学実験基礎」が開催されました.パートナーは上妻先生,太田先生,鈴木先生と変わっていますが,私は数年前から続けて担当しています.ジャガイモからデンプンを取り出して,その性質を調べるという高校でも行われるような簡単な実験ですが,対象が高校ではあまり実験の経験がない学生さんということですので,毎年この内容で行っています.


今年の実験の参加者は 16 名とあまり多くありませんでしたが,皆さん真面目に実験に取り組んでくれて,結果もまずまずだったと思われます.ティーチングアシスタントとして手伝ってもらった生物制御化学研究室の井上さんと化学生態学研究室の田中君の貢献もありました.


この科目は理工農学部の教員が協力して行ってきましたが,来年度からは理学部の先生方だけで実施してもらえる予定になっています.私の担当も今年で最後となるはずです.


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2011年12月6日火曜日

研究室セミナー

本日の研究室セミナーの論文紹介は化学生態学研究室修士課程の田中君の担当で,紹介した論文は Leonardo Bruno, Antonella Muto, Natasha D. Spadafora, Domenico Iaria, Adriana Chiappetta, Mieke Van Lijsebettens and Maria B. Bitonti, Multi-probe in situ hybridization to whole mount Arabidopsis seedlings. Int. J. Dev. Biol. 55: 197-203 (2011) でした.複数のプローブを同時に使って in situ ハイブリダイゼーションを行う手法の植物への適用についての論文です.

2011年12月1日木曜日

研究室セミナー & 実験室の壁補修工事

昨日の研究室セミナーの論文紹介は修士課程の大山君の担当で,紹介した論文は Ken-ichiro Taoka, Izuru Ohki, Hiroyuki Tsuji, Kyoko Furuita, Kokoro Hayashi, Tomoko Yanase, Midori Yamaguchi, Chika Nakashima, Yekti Asih Purwestri, Shojiro Tamaki, Yuka Ogaki, Chihiro Shimada, Atsushi Nakagawa, Chojiro Kojima & Ko Shimamoto, 14-3-3 proteins act as intracellular receptors for rice Hd3a florigen. Nature, 476, 332-335 (2011) でした.14-3-3 タンパク質がイネのフロリゲン(花成ホルモン)である Hd3a タンパク質の細胞内受容体として働いていることを報告した論文です.

また,本日から実験室の方の内壁補修工事が始まりました.先週までは教員室などのある県道側の部屋を工事したのですが,今週からは東京医大側の工事です.学生さんたちは机が使えなくなってしまったので,しばらく不便を強いられることになりました.内壁だけでなく,研究棟の外壁工事も進行中で,私の部屋の外ではここ数日発電機が動いていてとてもうるさい状態です.

2011年11月25日金曜日

化学生態学実験 III 終了

本日で長谷川担当の 3 年生向けの学生実験「化学生態学実験 III」の全日程が終了しました.今年は例年に比べて受講者数が多く,器具や機器の不足が心配でしたが,TA やボランティアで手伝ってくれた学生さんたちの協力のおかげで,前半は順調に進みました.


しかし,後半の TLC と GC/MS では例年になくトラブルが多くなってしまい,受講した学生さんたちには迷惑をかけてしまいました.TLC では発色試薬をスプレーするガラス容器のスプレーノズルが欠けているのを気付かずに使っていたため,最初はスプレーがきれいにできずに発色がイマイチでした.GC/MS では,このようなことは今まで無かったのですが,2 班だけを除いて,どの班も検出されたモミラクトン A のピークが予想外に小さくなってしまいました.これは現時点では,原因が良く分かりません.


うまくいかない実験というのもそれはそれで経験にはなるので,しっかりと勉強して良いレポートを書いて欲しいと思います.


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いもち病菌胞子発芽阻害試験で顕微鏡を使い,胞子発芽数を数えているところ

2011年11月17日木曜日

研究室セミナー

昨日の研究室セミナーの論文紹介は化学生態学研究室修士課程の山口君の担当で,紹介した論文は Hiroki Tokunaga, Mikiko Kojima, Takeshi Kuroha, Takashi Ishida, Keiko Sugimoto, Takatoshi Kiba, Hitoshi Sakakibara, Arabidopsis lonely guy (LOG) multiple mutants reveal a central role of the LOG-dependent pathway in cytokinin activation. Plant J., in press でした.サイトカイニンの活性化に関与する LOG タンパク質の役割について,変異体を用いた解析を行った論文です.

2011年11月16日水曜日

菅野紘男博士との共同研究成果が Appl. Entomol. Zool. 誌に受理

元九州沖縄農業研究センターの菅野紘男博士との共同研究成果が日本応用動物昆虫学会の英文誌 Applied Entomology and Zoology に受理されたとの連絡をもらいました.この研究は菅野さんが数年前本研究室に共同研究員として滞在された時に行われたものです.

セジロウンカの加害によって,イネにいもち病菌に対する抵抗性が誘導されるという興味深い現象を菅野さんたちが発見していたのですが,その抵抗性にジャスモン酸やサリチル酸,フィトアレキシンの蓄積が関与しているのではないかと考え,それらの定量を行ったものが今回の論文です.結果としては,ジャスモン酸やサリチル酸の内生量の増加,フィトアレキシンの蓄積がセジロウンカ加害によって引き起こされることが明らかとなりました.昆虫加害によるフィトアレキシンの蓄積については全く報告がないわけではないのですが,報告例は少なく,イネのフィトアレキシンについては病原菌以外の生物による誘導の確認は初めてだと思います.

2011年11月15日火曜日

壁の補修工事開始

今日から震災の影響でひび割れてしまった壁の補修工事が始まりました.今日始まったのは研究室の中庭側の部屋(教員室と測定室)と共通機器室の GC/MS 測定室で,来週の月曜日までかかる予定です.今日は業者さんたちが埃を避けるためのシートを設置して,ひびの割れた部分を削り取る作業をしてくれたようです.NMR 測定室については,超伝導マグネットが近い位置に修繕個所があるため,来週月曜日にメーカーの人も立ち会いで作業してもらう予定です.
長谷川の教員室


2011年11月14日月曜日

化学生態学実験 III & 研究室の壁補修工事準備

今日は化学生態学実験 III の 2 日目です.実際に実験をするのは今日が初日で,イネ葉に紫外線照射をしてフィトアレキシンを蓄積させる実験を行いました.この科目は選択科目なのですが,今年度は受講生が 34 名となり,例年に比べるとかなり多いので,器具や機器がどうしても不足気味になりそうで,スムーズに実験を行えるかどうか心配しています.



研究室の大きな実験室以外の部屋は,東日本大震災でひびの入ってしまった壁の補修作業が明日から一週間行われます.今日はその準備として壁際に置いてある物の移動をしました.一番苦労したのは測定室においてあるフリーザーでした.この際なので,三年ほどやっていなかった霜取りも行いました.LC/MS/MS もシャットダウンして,ちょっと壁から離しました.戸嶋先生や私の教員室も工事が入るので,壁際のコンピュータの置いてあるデスクを動かす必要がありました.私は一週間は iMac ではなく,MacBook Air で仕事をすることになりそうです.


霜取り中のフリーザー

2011年11月11日金曜日

化学生態学実験 III スタート

火曜日には戸嶋先生担当の二年生の学生実験の化学生態学実験 I が終了しましたが,今日から長谷川担当の三年生の学生実験化学生態学実験 III が始まりました.十日間の日程なのですが,一日だけやって週末になってしまうので,今日は実験内容の説明の講義を教室を使って行いました.


この実験は選択科目なので,受講生は年によって変動するのですが,今年は 30 人以上とかなり多めの受講生です.来週から本格的に実験が始まりますが,TA の学生さんに協力してもらいながら首尾よく進めていきたいと思います.

牛久高校で「となりの大学」出前授業

昨日は阿見町のとなりの牛久市にある茨城県立牛久高等学校に出前授業に行ってきました.茨城大学農学部では「となりの大学」(PDF) という近隣高校向けの出前授業メニューを用意していて,今回はこれで呼ばれました.同時に他大学や(おそらく)茨大の他学部の先生も呼ばれていたのですが,皆さん一人で 90 分授業を担当されていましたが,農学部のとなりの大学は 45 分設定になっていたので,我々だけ地域環境科学科の伊丹一浩先生と二人で 90 分の授業を行いました.


前半は伊丹先生が「環境問題入門」というタイトルで講義をして,後半は私が「植物の化学的防衛戦略」というタイトルでの講義をしました.農学系希望者の二年生の皆さん十数名に受講していただきました.

2011年11月10日木曜日

研究室中間発表会

昨日は 9:30-11:30, 12:15-14:20 の時間で生物制御化学研究室と化学生態学研究室合同の博士論文,修士論文,卒業論文の中間発表会が開催されました.例年,研究室の中間発表会は年末に実施していて,それが終われば忘年会というのが恒例になっていましたが,年末に「中間」発表では論文作成には時期的にもう手遅れということになってしまい兼ねないということで,今年から 11 月に実施することになりました.


生物制御化学研究室では,今年度の博士課程修了予定者 1 名,修士課程修了予定者 1 名,卒論提出予定者 4 名です.博士論文の提出は 12 月初め,発表会は 1 月,修論提出は 2 月初め,修論・卒論の発表会は 2 月中旬予定です.何より自分自身が納得のできる論文になるように,あまり多くない残りの時間を有効に使って研究を進めていただきたいところです.

2011年11月8日火曜日

今井卓也君の論文が Biosci. Biotechnol. Biochem. 誌に受理 & 井坂哲也君の論文がオンライン公開

11 月 6 日に修士課程 2 年生の今井卓也君を筆頭著者とする論文が日本農芸化学会の英文誌 Biosci. Biotechnol. Biochem. 誌に受理されました.この論文は今井君の修士論文研究の一部で,農業生物資源研究所の大橋祐子先生らとの共同研究成果です.


Takuya Imai, Yuko Ohashi, Ichiro Mitsuhara, Shigemi Seo, Hiroaki Toshima, and Morifumi Hasegawa, Identification of a degradation intermediate of a rice phytoalexin, momilactone A, by rice blast fungus. Biosci. Biotechnol. Biochem., in press.


イネいもち病菌がイネの生産する主要なフィトアレキシンであるモミラクトン A を分解するときの中間体の構造解析,合成,定量分析を行った論文です.フィトアレキシンは植物が病原菌の侵入に対して防御反応として蓄積する抗菌活性物質ですが,病原菌はこの防御反応を回避するためにフィトアレキシンを分解する能力を有する場合があります.我々の研究室では昨年やはり大橋先生らとの共同研究成果としてモミラクトン A がイネいもち病菌によって分解・解毒されることを報告しています(Mol. Plant-Microbe Interact. 23, 1000-1011).この論文で,モミラクトン A の分解中間体を GC/MS のピークとしては見つけていたのですが,その構造については未決定でした.今回の今井君の論文はこの宿題を解決するものです.構造決定した化合物はモミラクトン A のラクトン環の脱炭酸と酸化によって得られる 3,6-dioxo-19-nor-9β-pimara-7,15-diene (1) でした.


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化合物 1 の抗菌活性はモミラクトン A とほとんど変わらなかったので,モミラクトン A の解毒には更なる変換が必要だと推定しています.この点については,今後の研究課題です.


修士課程の学生さんの論文が在学中に出てくれる(たぶん今年度中には掲載されるはず)のは,私の指導する学生では初めてのことです.今井君がしっかり実験に取り組んでくれた成果だと思います.


また,博士課程の井坂哲也君を筆頭著者とする論文が J-STAGE で早期公開されました.


Tetsuya Isaka, Morifumi Hasegawa, and Hiroaki Toshima, Biomimetic cyclization of epoxide precursors of indole mono-, sesqui- and diterpene alkaloids by Lewis acids. Biosci. Biotechnol. Biochem., in press.


学生さんたちの論文発表が続いていますので,この流れに他の学生もどんどん続いて欲しいところです.

2011年11月3日木曜日

植物化学調節学会第 46 回大会

11 月 1 日と 2 日の二日間,栃木県宇都宮市の宇都宮大学峰キャンパスで植物化学調節学会第 46 回大会が開催されました.生物制御化学研究室の修士課程の今井君と井上さんの 2 名,化学生態学研究室の修士課程の山口君と四年生の横倉君の 2 名の合計 4 名の学生さんが茨城大学からポスター発表しました.たぶん,この学会で茨城大学から 4 名も発表するのは初めてのことなのではないかと思います.


学会は 1 日目に化学生態学研究室の 2 名が 3 分間の口頭発表,2 日目に生物制御化学研究室の 2 エ名が口頭発表を行い,2 日目の午後がポスター閲覧と質疑応答の時間でした.残念ながら,最後に発表されたポスター賞には誰も該当しませんでしたが,皆さん落ち着いて発表できましたし,それぞれにとって今後の研究の刺激になったのではないかと思います.


次の学会は 3 月末の京都での農芸化学会ですが,要旨の〆切が 12 月初めで,もうあまり時間がありません.この学会でも学生さんに発表してもらいたいのですが,まだデータが足りてないので,頑張って欲しいと思います.



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2011年10月26日水曜日

研究室セミナー

今週のセミナーもなかなか研究室メンバーのスケジュールが合わずに水曜日午前中という変則的な開催になりました.


論文紹介の担当は修士課程の今井君で,紹介した論文は Yuriko Osakabe, Shinji Mizuno, Hidenori Tanaka, Kyonoshin Maruyama, Keishi Osakabe, Daisuke Todaka, Yasunari Fujita, Masatomo Kobayashi, Kazuo Shinozaki, and Kazuko Yamaguchi-Shinozaki, Overproduction of the Membrane-bound Receptor-like Protein Kinase 1, RPK1, Enhances Abiotic Stress Tolerance in Arabidopsis. J. Biol. Chem., 285(12), 9190-9201 (2010) でした.アブシジン酸のシグナリングに関与する受容体ライクなプロテインキナーゼの過剰発現体が非生物的ストレス耐性を増強させる現象についての論文です.

2011年10月24日月曜日

停電

先週の土曜日は年に一度の電気設備点検のための停電がありました.例年は 9 月の夏休み中に実施されるのですが,今年は東日本大震災の影響で代替の発電機の手配が難しかったために遅れて実施することになったと聞いています.


本当はこの停電の間に研究室でバーベキューに行くという計画があったのですが,天気予報が雨だったので,前日に中止決定されました.代わりに夕方から急遽飲み会が開かれました.

2011年10月11日火曜日

NMR ユーザーズミーティング

先週の金曜日はブルカー・バイオスピン社主催の NMR ユーザーズミーティングに参加してきました.会場は品川駅近くの東京コンファレンスセンター・品川というところでした.

NMR や MS のユーザーズミーティングは日本電子のものには参加したことがあったのですが,ブルカーのものには初めて参加しました.主催者からの新製品・技術情報の提供とユーザー何名かの講演というパターンは大体どちらも似たようなものでした.ブルカーの特徴としては,途中で会場が3つに分かれて事前に申し込んでいたワークショップを聞くという形式になっているところです.日本電子のときは全員が最初から最後まで同じ会場で講演を聞いていました.

今回のユーザーズミーティングの目立った内容は東日本大震災の影響についての報告と液体窒素で冷却する廉価版クライオプローブの紹介だったと思います.

東日本大震災では東京以北のブルカー NMR の超伝導磁石のうち 16 台がクエンチしてしまったそうで,10/7 の時点でうち 8 台が復旧できているそうです.復旧できている 1 台には茨大の機器分析センター(水戸)の 1 台も含まれているはずです.まだ復旧で来ていない NMR についても一応予算的には復旧の見通しが立っているものがほとんどのようでした.結論としては,やはりクエンチから NMR を守るにはなるべく 1 階に設置するというのが重要なことのようです.1 階に設置することによってエレベーターが使えなくても冷媒の補給が行えるという利点もあるということでした.茨大農学部の NMR は 1 階に置いてあって本当に助かりました.

震災関連では埼玉大学の先生がたまたま地震で揺れている最中に NMR 測定を自動で連続的に行っていたそうで,地震の揺れがスペクトルにどのように影響するのかというのが分かる発表をされていてなかなか興味深かったです.

クライオプローブ(Agilent ではコールドプローブ)は本質的に感度の低い分析法である NMR の感度を飛躍的に高める技術で,NMR を使っている人なら誰でも使ってみたいと思っているのですが,導入・維持コストが高いため,なかなか広くは普及していません.今回のユーザーズミーティングで盛んに紹介されていた Prodigy というプローブは液体窒素で冷却するタイプのもので,従来のヘリウムコンプレッサーで冷却するクライオプローブに比べて 1/2 の導入コストと 1/3 のランニングコストという話でした.確か従来型のランニングコストは 200 万円/年ぐらいと聞いているので,1/3 になったからといって,簡単には導入できないと思いますが,確かに安くはなっています(でもやっぱり茨大農学部では無理です).性能的には超伝導磁石 300 MHz 分の感度増強効果があると謳っていました.400, 500 MHz クラスの磁石を使っていて,低分子有機化合物の構造解析に NMR を使っているところをターゲットにしているような感じでした.

その他には,測定やデータ処理をカスタマイズするプログラミングのワークショップなどにも参加しました.総じてブルカーのユーザーズミーティングは参加満足度は高かったと思います.あと,昼食の弁当の量も多くて,これの満足度もありました.懇親会も参加したかったのですが,帰りが遅くなってしまうので,講演だけ聞いて阿見まで戻りました.

2011年10月5日水曜日

研究室セミナー&植物化学調節学会

10 月になって後期の授業も始まりました.本来は生物制御化学研究室&化学生態学研究室のセミナーは火曜日の午後やっていたのですが,都合により後期は水曜日の午後にセミナーを実施することになりました.さらに,10 月は鈴木先生と戸嶋先生,11 月は私の担当する学生実験が 14:40 から始まってしまうので,時間を稼ぐために 12:30 開始というスケジュールになりました.

論文紹介の担当は博士課程の井坂君で,紹介した論文は Kavirayani R. Prasad and Bandita Swain, Total synthesis of panaxytriol and panaxydiol. Tetrahedron: Asymmetry 22(12), 1261-1265 (2011) でした.朝鮮人参から単離されたジアルキン化合物の全合成に関する論文です.

11/1-2 に宇都宮大学で開催される植物化学調節学会のプログラムがウェブに掲載されました.生物制御化学研究室から発表する修士課程の今井君と井上さんはどちらも 11/2 の発表となりました.

11 月 2 日(水)
76. 紫外線照射イネ葉からの新奇ジテルペン化合物 ent-10-oxodepressin の単離
○井上靖乃,阪井美紀,姚群,谷本洋輔,戸嶋浩明,長谷川守文
77. イネフィトアレキシン モミラクトン B のいもち病菌による代謝産物の同定
○今井卓也,戸嶋浩明,長谷川守文

2011年9月20日火曜日

日本植物病理学会関東部会『第 7 回若手の会』で講演

先週の金曜日の 9/16 の夕方からつくば市のイーアスつくば内のホールで開催された日本植物病理学会関東部会『第 7 回若手の会』で長谷川が「イネフィトアレキシンの化学 -新規化合物の探索とイネいもち病菌による代謝-」というタイトルで講演を行いました.若手の会の幹事を担当されている茨城大学遺伝子実験施設の古谷綾子先生に依頼されて引き受けた講演です.

茨城大学でのイネフィトアレキシン研究について,現在修士課程の学生さんの研究成果を中心に講演させていただきました.化学構造ばかりたくさん出て来る内容でしたので,生物系の研究が中心の植物病理の皆さんには取っ付きにくい発表だったかもしれませんが,多くの質問もあって皆さんに熱心に聞いていただけたように感じました.質問が多く出たということもあり,私の講演時間が延びてしまい,最後の演者の方の質問時間がほとんどなくなってしまったのは大変申し訳なかったです.

生物制御化学研究室の学会発表は主に日本農芸化学会や植物化学調節学会で行っていて,植物病理学会とは普段は距離があるのですが,特に私の研究内容は植物病理の研究分野と密接に関係しているので,この講演を機会に植物病理の若手の方達に茨大のフィトアレキシンの研究を知ってもらえたのは良いことであったと思います.

2011年9月6日火曜日

非常口の雨漏り対策

生物制御化学研究室は一階にあり,廊下の両端には普段は閉切の非常口があります.この非常口の片側で 7 月にかなり雨漏りがして廊下がびしょびしょになるという事態が発生しました.風向きによってドアの隙間から雨が入ってきてしまっているようでした.とりあえず,タオルで吸水してその場しのぎをして,何とかやり過ごしました.その後は風向きの関係上同じような雨漏りは発生していませんでしたが,今日になって業者さんが入って雨漏り対策の作業を始めてくれました.

ペンキの塗り直しも始まったので,廊下や研究室が非常にシンナー臭くなりました.

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2011年9月5日月曜日

植物化学調節学会&電力使用制限解除

今年の植物化学調節学会第 46 回大会は 11 月 1 日と 2 日に宇都宮大学で開催されます.生物制御化学研究室からは大学院修士課程の今井君と井上さんに発表してもらう予定です.明日が要旨の提出〆切日だったのですが,二人とも今日要旨提出を済ませました.データが足りない部分もあって見切り発車気味なので,立派な発表になるようにあと二ヶ月弱頑張って実験していただきたいと思います.

先週まで茨大阿見キャンパスも大口使用者として 15% の電力使用制限を受けていたのですが,今週から解除(被災地なので他所より一週間早い)となりました.しかし,節電努力は継続して求められているので,やや暑いですがまあ我慢できないレベルではないので,教員室ではエアコンなしで過ごしています.

2011年9月2日金曜日

研究室セミナー再開,BiND5

8 月中は夏休みのため開催していなかった研究室セミナーが今日から再開されました.9 月中は実験の進捗状況の報告のみで,論文紹介は 10 月再開予定です.大学の授業は 9 月いっぱい夏休みですが,研究室は 9 月はほぼ通常通り営業中です.

研究室のホームページの更新をしばらくしていませんでしたが,更新に使用していた BiND4 が Mac OS X 10.7 Lion に対応していなかったのに,私が Lion をインストールしてしまったのが原因です.今日,やっと Lion に対応した BiND5 が届いたので,久しぶりに更新してデザインもちょっと変更しました.

2011年8月8日月曜日

井坂哲也君の論文が Biosci. Biotechnol. Biochem. 誌にアクセプト

生物制御化学研究室に所属している連合農学研究科博士課程学生の井坂哲也君が Biosci. Biotechnol. Biochem. 誌に投稿していた論文 “Biomimetic cyclization of epoxide precursors of indole mono-, sesqui- and diterpene alkaloids by Lewis acids” がアクセプトされました.投稿するまでは非常に難産でしたが,投稿後は minor revise 一回で比較的すんなりアクセプトまで行きました.これで,12 月の学位論文提出,年が明けてからの学位審査へ進むことができるようになりました.これからも結構大変ですが,一つの山は越えたということでヤレヤレという感じです.

茨城大学は水戸キャンパスの新入生の授業も先週で終了して,今週から夏休みモードに入りました.しかし,明日は大学院入試なので,受験予定の四年生はまだ気が抜けません.

2011年8月1日月曜日

研究室セミナー

本日は夏休み前最後の研究室セミナーでした.他の場所が空いていなかったため,珍しく 103 講義室での開催でした.論文紹介の担当は四年生の小島さんで,紹介した論文は Fumihiro Ito, Koichi Shudo and Kentaro Yamaguchi, Total synthesis of (±)-hyrtiazepine. Tetrahedron, 67(10), 1805-1811 (2011) でした.カイメン由来アルカロイドの全合成についての論文です.

研究室セミナーは 8 月いっぱいは夏休みで,9 月からは実験の進捗状況の報告のみ再開予定です.論文紹介については 10 月から再開予定です.今日は阿見キャンパスの 2, 3 年生(と単位を落としている 4 年生)たちの受けている授業の期末試験の最終日でもありました.解放された学生さんたちも多いと思いますが,大学院受験予定の四年生は 8/9 の大学院入試まではまだ気が休まらないでしょう.大学院入試が終われば,やっと本格的な夏休みという感じです.

2011年7月25日月曜日

研究室セミナー

本日の研究室セミナーはこぶし会館研修室Cで実施しました.今週も二名が担当です.今週の担当は生物制御化学研究室の四年生の小林君と濱名君でした.小林君は Hiyas A. Junio, Arlene A. Sy-Cordero, Keivan A. Ettefagh, Johnna T. Burns, Kathryn T. Micko, Tyler N. Graf, Scott J. Richter, Robert E. Cannon, Nicholas H. Oberlies, and Nadja B. Cech, Synergy-Directed Fractionation of Botanical Medicines: A Case Study with Goldenseal (Hydrastis canadensis). J. Nat. Prod. 74(7), 1621-1629 (2011) を紹介しました.共力効果に基づいて分画を行って生理活性物質を単離する新たな方法についての論文です.濱名君は M. Soledade C. Pedras, Zoran Minic, Vijay K. Sarma-Mamillapalle and Mojmir Suchy, Discovery of inhibitors of brassinin oxidase based on the scaffolds of the phytoalexins brassilexin and wasalexin. Bioorg. Med. Chem., 18(7), 2456-2463 (2010) を紹介しました.アブラナ科フィトアレキシンの解毒酵素阻害剤の開発についての論文です.研究室セミナーは来週で一区切りで,8月中は夏休みの予定です.

2011年7月18日月曜日

農学部オープンキャンパス

昨日の日曜日は茨城大学農学部オープンキャンパスが開催されました.生物制御化学研究室では戸嶋先生の研究室は研究室公開,私の研究室は学生実験室での公開実験を行いました.非常に暑い中,公開実験には約 70 名の高校生の皆さんが参加してくれました.研究室の大学院生と学部の学生さんたちにボランティアで協力してもらったので,順調に実験を行うことができました.

今回の実験では,果物の匂いの物質であるエステルの化学合成を行いました.また,食品や植物などの代表的な匂い物質を嗅いで,何の匂いかを当ててもらいました.

2011年7月11日月曜日

研究室セミナー

本日の研究室セミナーは遺伝子実験施設セミナー室で実施しました.先週までは論文紹介の担当者は毎週一人だったのですが,今週から夏休みに入るまでは毎週二名になりました.今週の担当は化学生態学研究室の吉田さんと生物制御化学研究室の佐々木君でした.吉田さんは Eilon Shani, Hadas Ben-Gera, Sharona Shleizer-Burko, Yogev Burko, David Weiss, and Naomi Ori, Cytokinin Regulates Compound Leaf Development in Tomato. Plant Cell, 22(10), 3206-3217 (2010) を紹介しました.トマトの複葉形成のサイトカイニンによる制御についての論文です.佐々木君は Runpu Shen, Xiaoyue Jiang, Weidong Ye, Xiaohua Song, Luo Liu, Xuejun Lao, Chunlei Wu, A novel and practical synthetic route for the total synthesis of lycopene. Tetrahedron, 67(31), 5610-5614 (2011) を紹介しました.リコピンの全合成についての論文です.

2011年7月4日月曜日

研究室セミナー

本日の研究室セミナーはいつもの連合大学院ゼミナール室が使えなかったので,こぶし会館で開催されました.文献紹介は化学生態学研究室の四年生の横倉君の担当で,紹介した論文は Lucia C. Strader, Dorthea L. Wheeler, Sarah E. Christensen, John C. Berens, Jerry D. Cohenc Rebekah A. Rampey and Bonnie Bartel, Multiple Facets of Arabidopsis Seedling Development Require
Indole-3-Butyric Acid–Derived Auxin. Plant Cell, 23(3), 984-999 (2011)
でした.インドール酪酸からインドール酢酸への変換ができなくなった変異体の解析についての論文です.

2011年6月27日月曜日

研究室セミナー

今日の研究室セミナーの文献紹介は化学生態学研究室の四年生の岩上さんの担当で,紹介した論文は Zouhair Elghabi, Stephanie Ruf, Ralph Bock, Biolistic co-transformation of the nuclear and plastid genomes, Plant J., in press でした.パーティクルガン法を用いて核とプラスチドの両方のゲノムに遺伝子を同時に導入する方法についての論文です.

2011年6月26日日曜日

研究室セミナー & 節電

先週の研究室セミナーについてまだ書いていませんでした.先週月曜日 6/20 の研究室セミナーの論文紹介担当は化学生態学研究室の修士課程学生の田中君で,紹介した論文は Laura Ragni, Kaisa Nieminen, David Pacheco-Villalobos, Richard Sibout, Claus Schwechheimer, and Christian S. Hardtke, Mobile Gibberellin Directly Stimulates Arabidopsis Hypocotyl Xylem Expansion. Plant Cell, 23(4), 1322-1336 (2011) でした.シロイヌナズナの木部形成の移動性シグナルとしてジベレリンが機能しているという内容の論文でした.これは Plant Cell で非常にデータの多い論文だったので,紹介にかなりの時間がかかってしまい,今年一番の長時間ゼミとなりました.

先週からいよいよ暑くなってきましたが,茨城大学も東京電力の大口利用者になっているので,当然 15% の節電を求められています.今年は特に理由のある部屋以外はすべて冷房は使えなくなってしまいましたので,当然教員室は冷房なしです.生物制御化学研究室は一階なので,上層階に比べると暑さはかなりましな方なので助かっていますが,やはり暑いです.私も暑い日の日中は少しでも電力消費と発熱を抑えるため,iMac を使うのを止めて MacBook Air で仕事をすることにしました.もちろん,暑い日にエアコンなしでパソコンを使うのはパソコンにも良くないのは当たり前なので,iMac の寿命を縮めないためという意味合いもあります.

節電対策の一環として,廊下に人が通ったことを感知して点灯する LED 照明が設置されました.節電のため廊下の蛍光灯照明は基本的に点灯していないので,夜は本当に真っ暗で手探りで歩かなければいけないという状態でした.私は何度か廊下の壁に激突したことがあるのですが,もう激突しないで済みそうなので,ありがたいです.

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廊下に設置された LED 照明

2011年6月13日月曜日

研究室セミナー

今日の研究室セミナーの文献紹介は化学生態学研究室の修士一年の山口君の担当で,紹介した論文は Minoru Kubo, Kaori Furuta, Taku Demura, Hiroo Fukuda, Yao-Guang Liu, Daisuke Shibata and Tatsuo Kakimoto, The CKH1/EER4 Gene Encoding a TAF12-Like Protein Negatively Regulates Cytokinin Sensitivity in Arabidopsis thaliana. Plant Cell Physiol. 52(4), 629-637 (2011)でした.シロイヌナズナのサイトカイニン感受性変異体の原因遺伝子についての論文です.

2011年6月6日月曜日

研究室セミナー

生物制御化学・化学生態学研究室の研究室セミナーは通常は火曜日開催なのですが,メンバーの都合により今週からはしばらく月曜日開催となりました.

今日の研究室セミナーの文献紹介はは修士課程の大山君の担当で,紹介した論文は,Anna Robinson, Varinder K. Aggarwal, Asymmetric Total Synthesis of Solandelactone E: Stereocontrolled Synthesis of the 2-ene-1,4-diol Core through a Lithiation–Borylation–Allylation Sequence, Angew. Chem. Int. Ed., 49, 6673-6675 (2010) でした.ヒドロイドから単離されたシクロプロパン環およびラクトン環を有する海洋オキシリピン化合物の全合成についての論文です.

2011年6月1日水曜日

iMac 壊れる,研究室セミナー

昨日,私が研究室でメインで使っている iMac が不調に陥ってしまい,OS の再インストールや Time Machine バックアップからの復元などを試みたのですが,解決しませんでした.結論としては,内蔵ハードディスクドライブの故障であろうということで,家から FireWire 800 接続の外付ドライブを持って来て,それに Time Machine バックアップを復元することで,また iMac を使えるようになりました.Time Machine はいざというときには本当に頼りになります.

昨日は研究室セミナーがありました.論文紹介は修士一年の井上さんの担当で,紹介した論文は Schmelz EA, Kaplan F, Huffaker A, Dafoe NJ, Vaughan MM, Ni X, Rocca JR, Alborn HT, and Teal PE, Identity, regulation, and activity of inducible diterpenoid phytoalexins in maize. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 108, 5455–5460 (2011) でした.トウモロコシからジテルペンのフィトアレキシンを同定したという論文です.

2011年5月24日火曜日

研究室セミナー

今日の研究室セミナーの文献紹介はは修士課程の今井君の担当で,紹介した論文は,Ritesh Raju, Andrew M. Piggott, Xiao-Cong Huang, and Robert J. Capon, Nocardioazines: A Novel Bridged Diketopiperazine Scaffold from a Marine-Derived Bacterium Inhibits P-Glycoprotein. Organic Letters, 13(10), 2770-2773 (2011) でした.海洋バクテリア培養液から単離されたジケトピペラジン化合物の構造解析とその生理活性についての論文です.

2011年5月17日火曜日

研究室セミナー

今週から研究室のセミナーで外書講読が始まりました.今日は博士課程の井坂君の担当で,紹介した論文は,David B. C. Martin and Christopher D. Vanderwal, A synthesis of strychnine by a longest linear sequence of six steps. Chemical Science, 2, 649-651 (2011) でした.ストリキニーネの全合成を 6 段階で達成したという論文です.

2011年5月9日月曜日

連休明け

また一ヶ月近くこのブログを放置してしまいましたが,今日から連休明けで研究室が再スタートです.震災後ずっと使えなかった研究室のドラフトも本日点検が終了してやっと使えるようになりました.今までは有機化学系の研究室でドラフトが使えないという厳しい状況だったのですが,これで本格的にいろいろな実験を始めることができます.

大学では遅れていた新入生の授業も先週からスタートして,私も担当の化学生態学入門のために先週は水戸へ出張してきました.

茨城大学農学部の研究棟は外壁のタイルが震災で落下して危険な状態だったため,建物の周りが立ち入り禁止になっていて,出入口も制限された状態が今日まで続いていました.補修工事とタイル落下への安全対策のために先月から研究棟をすっぽりと覆う足場の設置工事とネット張りが行われていました.その工事が終了したので,明日からは今まで使っていたすべての出入口が使えるようになります.ここしばらくは研究室から図書館・講義棟や生協に行くのに遠回りをしなければいけなかったのですが,明日からは近くなります.

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足場とネットですっぽり覆われた研究棟



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部屋の中から外を見るとこんな感じ

2011年4月12日火曜日

新学期

茨城大学農学部では,本来は先週から開始予定だった授業が東日本大震災の影響で今日から開始になりました.

研究室は先週から新四年生を迎えて再スタートしています.今年度の生物制御化学研究室のメンバーは博士課程 1 名,修士課程 3 名,四年生 4 名です.今日からは化学生態学研究室と合同のセミナーも始まりました.化学生態学研究室は学生さんが 5 名(昨年度は 1 名)に増えたので,セミナーに参加する学生は合計で 13 名になり大幅増です.

2011年3月23日水曜日

学位記伝達式

本日は茨城大学卒業式が水戸の武道館で開催予定だったのですが,東日本大震災の影響で規模を縮小した学部ごとの学位記伝達式が行われました.日立にキャンパスのある工学部では残念ながら学位記伝達式も開催することができず,卒業生・修了生には学位記が郵送されることになったそうです.

阿見キャンパスでは農学部,大学院農学研究科,東京農工大学大学院連合農学研究科(茨城大学配置)の卒業生・修了生に対する学位記伝達式が午前 11 時から 100 番講義室で開催されました.

生物制御化学研究室では 3 名の学部卒業生と 1 名の修士課程修了生がいるのですが,修士課程の下村君だけが都合がつかずに出席できませんでした.学部の 3 名には本日学位記が学科長の白岩先生から授与されました.

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研究室の方では震災後に被害を受けているかどうかが心配だった NMR と LC-MS/MS の動作確認を行いました.幸い,どちらの機器も問題なく測定に使える状態であることが分かりました.

2011年3月16日水曜日

大震災

現在,茨城大学農学部では大部分の教員・学生は自宅待機状態です.心配されている方もいるかもしれませんので,近況を書いておきます.

3/11 の大地震のときには茨城県阿見町にある茨城大学農学部の建物も激しく揺れましたが,幸い,そのときに建物内にいた学生・教職員で負傷等をしたという話は聞いておりません.生物制御化学研究室の学生さんたちは就職活動などで不在だった人を除いて 4 名が研究室にいましたが,教員(戸嶋・長谷川)含めて全員身体的には何の被害も受けませんでした.また,研究室に来ていなかった学生さんたちもそれぞれ無事であることを確認しています.

しかし,各研究室は相当の被害を受けており,特に上の階に行くほどその被害はひどい状態です.生物制御化学研究室は 1 階にあったのが幸いして,今のところ空の試薬瓶が一本割れた以外の被害は出ていません.5, 6, 7 階の研究室は多くの棚が倒れてガラスの破片が散乱し,かなり危険な状態でした.

共通の大型機器の NMR や質量分析計は,地震以降立ち上げていませんので,問題がないかどうかははっきりとは言えませんが,見たところ大きな破損等はなく大丈夫そうです.しかし,特に高真空を要求する質量分析計は計画停電が起こりうる状況(今のところ茨城は被災地として免除されていますが)では稼働させるわけにはいきませんので,しばらくは様子見です.

今月末に研究室の学生さん 3 名が発表予定だった日本農芸化学会 2011 年度大会(京都)は中止になってしまいました.学生さんたちはそれぞれに準備して楽しみにして(びびって?)いたので,残念ですが,仕方がありません.

被災地での物資不足,原発,計画停電など様々な問題が未解決ですが,阿見町はライフラインの復旧も比較的早く,スーパーや飲食店もそれなりに営業していて,東北や茨城県北の被災地に比べるとかなり状況は良くなっています.

2011年3月5日土曜日

研究室追いコン

昨日は阿見の焼き鳥屋「鳥吉」で生物制御化学研究室の追いコンが開催されました.この3月に卒業・修了する学生さんは 4 名ですが,うち 2 名は大学院進学で,研究室から巣立って行く学生さんは修士 1 名,学部 1 名の 2 名です.また,社会人入学の博士課程学生として四年間研究室に在籍し,昨年 9 月に学位を取得したエボニック・デグサ・ジャパンの湯本さんも昨日の追いコンには参加しました.湯本さんは近いうちに四日市に転勤になるそうです.最新鋭の設備を備えた新工場の立ち上げ業務に携わるそうで,単身赴任にもなって大変ですが,より一層の活躍が期待されます.

2011年3月2日水曜日

新しい電子天秤

本日は新しい電子天秤が納品されました.島津製作所の AUW120D という 0.01 mg まで秤量できるタイプの分析天秤です.今までは Chyo Balance のものを使っていましたが,もう 15 年以上使っていてちょっと安定性に問題があったりしたので,予算が確保できた今年度に買い替えることにしました.古い天秤は学生実験の天秤室で余生を送ってもらう予定です.

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2011年2月28日月曜日

新しい冷却水循環装置

有機化学系の研究室ではロータリーエバポレーターという濃縮装置を多用します.この装置は蒸発させた溶媒を冷却管で冷却して液体に戻して回収します.昔はどの研究室でも冷却水として水道水を流しっぱなしで使っていました.水道水を冷却水にしていると,まず水がもったいないですし,冷却効率も良くないため,多くの溶媒を大気中や下水(水流アスピレーターを使う場合)に逃がしてしまうことになります.今ではこのようなことは実験室環境の安全衛生という点でも排水の管理という点でもできなくなり,冷却水循環装置とダイヤフラム真空ポンプを使って可能な限り溶媒を回収することが求められています.

生物制御化学研究室では,何台かの冷却水循環装置がエバポレーター用として稼働していますが,そのうち一台はもともと開放系用の装置であったため,あまり冷却効率が良くありませんでした.今回この効率の悪い装置の代わりとして新しい冷却水循環装置装置を導入することができました.東京理化器械の CA-1114 という装置です.不凍液を使うことで,-10℃ 程度の温度で使うことができて効率よく冷却できます.しかも,とても動作音が静かです.

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2011年2月23日水曜日

大山秀芳君卒業論文発表会

資源生物科学科の卒業論文発表会は先週終了したのですが,生物制御化学研究室の大山君は運の悪いことにその時期にインフルエンザを発症したため出席停止で発表することができませんでした.一週間の出席停止期間も終了したので,本日 13:00 から 103 講義室で彼一人のための卒業論文発表会(タイトル:花芽誘導活性を有する脂肪酸誘導体の合成研究 -β酸化阻害型KODA類縁体の合成-)が開催されました.お客さんがどのぐらい来るのか心配したのですが,教員と学生合わせて 30 名ぐらいの方が来てくれました.

発表は非常に落ち着いて良く出来ていたと思いますが,質問の対応についてはさらなる精進が望まれます.大山君は 4 月からは大学院に進学するので,さらに研究室で研鑽を積んで修論発表会では大幅なレベルアップを期待します.

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2011年2月19日土曜日

卒業論文発表会

今週は茨城大学農学部では各学科や大学院の専攻で卒業論文発表会,修士論文発表会が連日開催されました.資源生物科学科の卒業論文発表会は 2/15(火)と 2/17(木)の二日間にわたって開催され,生物制御化学研究室の四年生たちは 2/17 に発表しました.しかし,四年生3名のうち大山君は不可避的事情により 2/17 には発表ができなくなってしまい,後日単独で発表会を開催するということになってしまいました.佐藤さんと井上さんはそれぞれ「光学活性syn-copalolの合成研究」,「紫外線照射イネ葉からの新奇ジテルペン化合物の単離」というタイトルで発表し,発表自体は練習の成果もあって流暢に出来ましたが,質問への対応はもうひと頑張り必要だったかなという感じでした.

終了後にはこぶし会館食堂で農業化学生態学の研究室合同での打ち上げがあり,井上さんが投票により優秀発表者第3位を化学生態学研究室の山口君と分け合いました.1位,2位はどちらも微生物生態学研究室の皆川君と小松崎君でした.

私自身は今年度は教務委員としてこの卒業論文発表会を仕切らなければいけない立場でした.大学院生の皆さんにご協力いただいて無事終わらせることができました.100 番教室でワイアレスマイクが使えないということに初日の発表開始時まで気が付かなかったのが失敗でしたが,安西先生のお申し出で遺伝子実験施設のポータブルアンプとマイクを借りることができて,何とか初日の午後からは座長と質問者もマイクを使えるようになりました.

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2011年2月14日月曜日

修士論文発表会

本日は茨城大学大学院農学研究科資源生物科学専攻農業化学生態学専門分野の修士論文発表会がこぶし会館で開催されました.今年度は全体で4名と少ない人数だったのですが,皆さん立派に二年間の研究成果を発表していました.

生物制御化学研究室からは下村伸君が「シクロプロパン環導入型 KODA 類縁体の立体選択的合成」というタイトルで発表しました.若干時間配分を間違えて戸惑ったそうですが,まあ落ち着いて発表できたのではないかと思います.四月からは会社に入って今までの実験や研究とは違った土俵で勝負しなければいけないわけですが,研究室で得た知恵と経験を生かして活躍してくれることを期待しています.

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2011年2月11日金曜日

修論・卒論大詰め

二月に入って修士二年 1 名とを四年生 3 名の学生さんたちはいよいよ大詰めの時期になってきました.来週の14日(月)が修士論文発表会で,17日(木)が卒業論文発表会です.今週は8日(火)に修論と卒論の発表練習会を化学生態学研究室と合同で行い,同じ日に修士二年の下村君の予備審査会も行われました.

2011年1月27日木曜日

新インキュベーター

生物制御化学研究室では主にフィトアレキシンの研究を行うために照明付きインキュベーターを使用しています.今まで使っていたインキュベーター(富士医科産業製)は私は大学四年生のときに納入された装置で 21 年間ほぼ休みなく稼働していました.ところが,さすがに昨年ぐらいからファンが異音を発生するようになり,温度制御もややあやしくなってきていました.富士医科産業は比較的よく面倒を見てくれていたのですが,さすがに今回はもう古すぎて修理はできないということでした.いつ完全に使えなくなってもおかしくないなあ,と思いながらも一年ぐらいは使っていたのですが,今年は運良く予算の工面がついたので,このインキュベーターを更新することにしました.

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21年間働いてくれた旧インキュベーター.



新しいインキュベーターも富士医科産業製で,本日納品されました.今までのより少しサイズは小さくなりましたが,二部屋に分かれていて別系統で温度や照明を制御できるタイプのものです.この機械も末永く頑張ってくれることを期待しています.

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新インキュベーター.早速実験に使用中.

2011年1月26日水曜日

農芸化学会からのメールがスパム判定で届かず

3/25~28 に京都女子大学で開催される日本農芸化学会 2011 年度大会に生物制御化学研究室からは 3 題の口頭発表を申し込んでいました.しかし,1/7 に届いていたはずの発表日時の連絡メールがなぜかうちの研究室の発表予定の学生さんたちのところには届きませんでした.化学生態学研究室の鈴木先生と学生さんのところにも届いていなかったようで,いろいろ聞いてみると,茨城大学のメールサーバーを使っている人のところには全く届いていないということがわかりました.

昨日,農芸化学会の担当者の方にお願いして,別なサーバーからメールを再送してもらったところ,やっと届きました.

これは,大学のメールサーバーが農芸化学会からのメールをスパム判定してしまってブロックしているからに違いないと思い,IT 基盤センターに問い合わせてみました.その結果,茨城大学のメールサーバーは DNS の整合性がとれていない(ホスト名から IP アドレスを参照したときと IP アドレスからホスト名を参照したときに不一致が起きている状態)サーバーから送信されたメールはすべてスパムとしてブロックするように設定されていて,1/7 に送信された農芸化学会からのメールはそれでブロックされていたということが判明しました.

こちらとしては,これ以上対処の使用がないので,農芸化学会にはこういう設定のメールサーバーを使っている大学もあるので,対応が可能ならば対処していただきたい旨を鈴木先生に伝えてもらいました.

DNS の整合性がとれていないメールサーバーというのはいわゆる踏み台にされてスパムの発信源になっている可能性が高いということだと思います.大学のセキュリティー対策としては正しいのだと思いますが,スパムでなくてこういう状態で送られてくるメールがこのケース以外にもあるのではないかとちょっと心配になりました.



2011年1月24日月曜日

新しいパソコンとプリンター

しばらくブログの更新が空いてしまいました.これが 2011 年初めての更新になります.

本日,生物制御化学研究室に新しいパソコンとプリンターが納品されました.試薬管理に使っていた情報処理室のお古のパソコンはハードディスクが 10 GB ぐらいしかなく,いつも容量不足気味で,突然ブルースクリーンになったりすることも何度かあったので,ここのところはあまり使われなくなっていました.共通の試薬管理パソコンが不調だと,ついつい試薬の登録などを忘れることにもなってしまうので,新しいパソコンを購入することになりました.後継機は DELL の Latitude E5510 というノートパソコンでハードディスクの容量は今までの十倍以上です.OS は Windows 7 Professional で,研究室初の Windows 7 パソコンです.これで,現在私が管理している Windows は 3.1, 95, 98, 2000, XP, Vista, 7 ということになり,Me と NT 以外は大体全部揃いました(細かいエディションは別にして).測定機器についているパソコンは,新しくしようとすると機器も買い換えないといけなくなるので,古いものでも大事に使わないといけないのです.

プリンターは戸嶋先生の部屋にあった EPSON LP-8800C が不調になり,もう 8 年以上使っていて,修理にも結構お金がかかりそうだったので, 新しいものに買い換えることにしました.今度のは沖の C610dn という機種です.A3 の印刷はできなくなりましたが,それほど A3 印刷のニーズはなかったので,今度は A4 カラーのプリンターです.

今週は木曜日に新しいインキュベーターも来る予定になっています.