2015年4月23日木曜日

堀江清孝君の論文が J. Agric. Food Chem. 誌に掲載

連合農学研究科博士課程 3 年に在籍している堀江清孝君が筆頭著者の論文がアメリカ化学会の J. Agric. Food Chem. に掲載されました.

Horie, K., Inoue, Y., Sakai, M., Yao, Q., Tanimoto, Y., Koga, J., Toshima, H. and Hasegawa, M. (2015) Identification of UV-induced diterpenes including a new diterpene phytoalexin, phytocassane F, from rice leaves by complementary GC/MS and LC/MS approaches. J. Agric. Food Chem. in press. 

この研究は堀江君だけではなく,本研究室の卒業・修了生の井上靖乃さん,阪井美紀さん,姚群さん,谷本洋輔君の卒論や修論の研究をもとにしている論文です.

イネのフィトアレキシンとしては現在までにジテルペン化合物 15 種類,フラボノイド化合物 1 種類が報告されていました.この論文では新規化合物であるファイトカサン F を紫外線照射イネ葉から精製し,その構造解析を行い,さらに紫外線照射やイネいもち病菌接種による蓄積および抗菌活性を調べて,ファイトカサン F がイネの 17 番目の新規フィトアレキシンであることを明らかにしています.また,同時に抗菌活性は低いものの紫外線照射とイネいもち病菌接種によって蓄積する 2 種のジテルペン化合物の同定も行い,これらがモミラクトン類とオリザレキシン S 生合成における中間体ではないかと推測しています.今回新たに発見されたファイトカサン F は従来から知られていたフィトアレキシンの中で比較的蓄積量も抗菌活性も高いファイトカサン A と同程度の抗菌活性と蓄積量を示しました.したがって,ファイトカサン F は多数あるイネのフィトアレキシンの中でも重要なフィトアレキシンの一つであると考えています.