2013年6月8日土曜日

下村伸君の論文が Biosci. Biotechnol. Biochem. 誌に掲載

2011 年 3 月に修士課程を修了した下村伸君が筆頭著者の論文が Biosci. Biotechnol. Biochem. 誌(日本農芸化学会の英文誌)のサイトでオンライン公開されました.

Shimomura, S., Oyama, S., Nakano, K., Hasegawa, M., and Toshima, H. (2013). Stereoselective synthesis of a promising flower-inducing KODA analog, (9R,12S,13R,15Z)-9-hydroxy-12,13-methylene-10-oxooctadec-15-enoic acid. Biosci. Biotechnol. Biochem. in press.

植物の花芽の形成は日長などの環境要因によって厳密に制御されています.花咲か爺さんの昔話にあるように,花芽形成を人間の意のままに自由に制御することができれば,その技術は農業生産や育種,園芸の現場などで大変役に立つはずです.

この論文は,アオウキクサから単離された花芽形成促進物質 KODA 類縁体の立体選択的合成を報告したものです.KODA は資生堂の横山らによって発見された化合物(こちらを参照)ですが,そのまま植物生長調節剤として用いるには不安定な化合物であるため,本研究室ではシクロプロパン環を導入した化学的に安定な類縁体を設計し,その合成方法について研究を行ってきました.本論文で報告した類縁体が花芽形成促進活性を有するかは今後の研究によって明らかにしなければいけませんが,有効な花芽形成促進物質となることが期待されています.

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KODA の化学構造(天然から単離された KODA は 1R:1S = 7:3 の混合物)

koda_analog-2013-06-8-16-54.png
本論文で報告した KODA 類縁体

この論文は下村君だけでなく,今年修了した大山秀芳君と 2008 年修了の中野恭平君たちの修士論文研究成果の一部をまとめたものです.