2011年11月8日火曜日

今井卓也君の論文が Biosci. Biotechnol. Biochem. 誌に受理 & 井坂哲也君の論文がオンライン公開

11 月 6 日に修士課程 2 年生の今井卓也君を筆頭著者とする論文が日本農芸化学会の英文誌 Biosci. Biotechnol. Biochem. 誌に受理されました.この論文は今井君の修士論文研究の一部で,農業生物資源研究所の大橋祐子先生らとの共同研究成果です.


Takuya Imai, Yuko Ohashi, Ichiro Mitsuhara, Shigemi Seo, Hiroaki Toshima, and Morifumi Hasegawa, Identification of a degradation intermediate of a rice phytoalexin, momilactone A, by rice blast fungus. Biosci. Biotechnol. Biochem., in press.


イネいもち病菌がイネの生産する主要なフィトアレキシンであるモミラクトン A を分解するときの中間体の構造解析,合成,定量分析を行った論文です.フィトアレキシンは植物が病原菌の侵入に対して防御反応として蓄積する抗菌活性物質ですが,病原菌はこの防御反応を回避するためにフィトアレキシンを分解する能力を有する場合があります.我々の研究室では昨年やはり大橋先生らとの共同研究成果としてモミラクトン A がイネいもち病菌によって分解・解毒されることを報告しています(Mol. Plant-Microbe Interact. 23, 1000-1011).この論文で,モミラクトン A の分解中間体を GC/MS のピークとしては見つけていたのですが,その構造については未決定でした.今回の今井君の論文はこの宿題を解決するものです.構造決定した化合物はモミラクトン A のラクトン環の脱炭酸と酸化によって得られる 3,6-dioxo-19-nor-9β-pimara-7,15-diene (1) でした.


Fig1-2011-11-8-17-46.png


化合物 1 の抗菌活性はモミラクトン A とほとんど変わらなかったので,モミラクトン A の解毒には更なる変換が必要だと推定しています.この点については,今後の研究課題です.


修士課程の学生さんの論文が在学中に出てくれる(たぶん今年度中には掲載されるはず)のは,私の指導する学生では初めてのことです.今井君がしっかり実験に取り組んでくれた成果だと思います.


また,博士課程の井坂哲也君を筆頭著者とする論文が J-STAGE で早期公開されました.


Tetsuya Isaka, Morifumi Hasegawa, and Hiroaki Toshima, Biomimetic cyclization of epoxide precursors of indole mono-, sesqui- and diterpene alkaloids by Lewis acids. Biosci. Biotechnol. Biochem., in press.


学生さんたちの論文発表が続いていますので,この流れに他の学生もどんどん続いて欲しいところです.